集客といえばSNSや広告などを利用して、職業名や事務所の名前を前面に打ち出している宣伝をよく見かける印象があります。
税理士や弁護士などといった士業の中でも知名度の高い職業なら、このようなやり方でもある程度の集客はできると思いますが、行政書士の場合は集客効果を得ることは難しいと考えられます。
なぜなら、行政書士は税理士や弁護士などといった職業とは、効果的なアプローチの仕方が異なるからです。
「なぜ行政書士は、他の士業とは違うアプローチをしないといけないのか」
その理由と行政書士ならではの集客について一挙公開しますので、ぜひお付き合いください。
1.行政書士の集客が他の職業とは異なる理由
冒頭で述べたように、行政書士は他の職業とは異なる方法で集客をする必要があります。
これは行政書士の集客の成否に関わることなので、まずはその理由を説明します。
1-1.行政書士は何ができるのか認識されていない
行政書士は官公庁に提出する書類の作成など、扱える書類の数が1,000種類以上もある業務範囲がとても広い職業です。
しかしその幅広さのために「税理士=税務や会計」や「弁護士=訴訟関係」のように、職業名だけで何をしているか理解できる分かりやすさはありません。
一般的には何の仕事をしているのか明確に認識されてないことが多いのも事実です。
そのため税理士や弁護士は職業名だけで、「弁護士を探していたところです」や「税金について相談できる人を探していました」といったような仕事を取ることができます。
しぁし、行政書士が同じようにして仕事を取ることは困難だといえます。
では、どうすればこの問題を解決できるでしょうか?
1-2.行政書士ができることを明確にする
行政書士が何の仕事をしているのか、明確に認識されていないことが集客の課題となっているならば、行政書士は誰に何をしてあげられるのかを明確にすれば良いということになります。
そうやって自分から相手に、行政書士は何ができてどのようなメリットを提供しているのか、積極的に教えてあげることが大切です。
それができれば、行政書士の需要が見えてくることが期待できます。
それではここまでの説明で、行政書士は他の職業とは異なるアプローチが必要であることを理解できたところで、行政書士ならではの集客の準備をしていきましょう。
2.行政書士の集客を成功させるための準備
行政書士の集客を成功させるには、集客のための準備がしっかりできているかどうかにかかっているといえます。
そのため、次に説明する集客に向けた準備は、抜かりなく行うようにしましょう。
2-1.行政書士ができる仕事をリストアップ
先の述べた通り、「行政書士です」と伝えても、ほとんどの相手には何ができるのか伝わりません。
そこでまずは「自分は誰に何をしてあげられるのか」を明確にするために、次に挙げるように行政書士ができることをリストアップして、需要を明らかにしましょう。
(行政書士ができることのリスト例)
- 会社設立時の手続き
- 飲食店などの開業手続き
- 内容証明郵便
- 産業廃棄物特許関連手続き
- 相続手続き 他
弁護士や司法書士、税理士などといった職業と一部重複する活動分野である相続手続きなどについては、書類作成の支援といったように、その他の職業とは違う行政書士だからこそできることも明確にしておく必要があります。
2-2.需要が多く、競合が少ない仕事を選ぶ
行政書士にできることをリストアップしたら、その中から需要が多く、かつ競合が少ない仕事をいくつか選びましょう。
需要が少ないと元々仕事がとれる確率自体が低いうえに、競合が多すぎると入り込むのに苦労する可能性が高いので、丁度良い隙間を見つける努力が必要です。
3.行政書士ならではの具体的な集客手順
集客をする準備ができたら、実際に集客を行いましょう。
ここからは、行政書士ならではの具的な集客手順を紹介していきます。
3-1.ターゲットの目的に軸をおいた集客内容を考える
準備で挙げた需要リストから選び出した仕事を元に、集客内容を考えましょう。
大事なことなので何度も申し上げますが、「行政書士です」や「行政書士○○事務所です」などといった宣伝内容を考えがちですが、これは基本的にNGです。
自分が行政書士だと伝えたい気持ちがあるからこそ「行政書士です」と宣伝したくなるのは当然のことだと思います。
しかし、効果的な集客をするためには行政書士が何をできるのか理解していない人達に、理解してもらうように作らないといけません。
そこで集客内容を考える時には、相手が困っていることや達成したい目的に軸を置くようにしましょう。
具体的には、次のような例が挙げられます。
「飲食店の開業手続きでお困りではないですか?」
「飲食店の開業をスムーズに済ませたい方へ」
以上のことを意識することで、需要に沿った集客内容が考えやすくなります。
3-2.自分を選ぶ理由を提示する
競合が多い中で自分を選んでもらうには、お客さんが自分を選ぶべき理由を伝えることが重要です。
そのためには、次に挙げることを考えてお客さん提示するようにしましょう。
3-2-1.自分に依頼する必要性
多くの競合の中から目を止めてもらうためには、なぜ自分に依頼する必要があるのかを提示することが大切です。
ここでも、お客さんの困っていることや達成したい目的に軸を置いて考えることが役に立ちます。
お客さんに対して自分が何をしてあげられるかを明確に伝えることができれば、お客さんが「この人なら自分の問題を解決してくれるかもしれない」と考えてあなたを選ぶ確率が高くなります。
3-2-2.自分に依頼する具体的なメリット
「自分は○○に対して□□をすることができます。それによって、あなたの悩みが解決できます。」など、自分に依頼することによって得られるメリットをできる限り具体的に伝えるようにしましょう。
お客さんが思い浮かべられるくらいに具体的にメリットを伝えることができれば、集客効果がさらに高まると考えられます。
3-2-3.競合と自分の違い
集客をより効果的にするためには、競合との差別化も大切です。
お客さん自身やお客さんのニーズを調べるだけでなく、競合のことも徹底的に調べるようにしましょう。
そうして競合から学べることは何か、自分が競合よりも得意とすることは何か、自分なら同じニーズに対してどのように応えるかなどをじっくり考えて、競合と自分の違いをアピールしましょう。
3-2-4.過去に自分に依頼した人達の感想
人は自分と同じ悩みを抱えていた人達の感想を聞くことで、「自分の問題も解決してもらえるかもしれない」という期待感が高まる傾向があります。
従って、広告を出す際には提供できるメリットや競合との違いを提示する他に、過去に自分に依頼した人達の感想も提示すると効果的です。
3-2-5.「今」このタイミングで依頼する必要性
集客をするには、「今」行政書士を必要としている人がいるタイミングでアピールをすることが重要です。
「そのうち」必要とするかもしれない人が依頼してくる可能性は限りなくゼロに近いため、「今」のタイミングを逃さないためには、そういった人達がいる場所に宣伝をすることが肝心です。
では、どこに宣伝を出せば良いのか、次で詳しく解説します。
3-3.ターゲットが利用している検索方法を調べる
「今」行政書士を必要としている人達がいる所に広告を出すには、その人達が問題解決のための方法をどのように探しているかを調べることです。
例えば、ターゲットがネット検索や市役所への問い合わせなどを利用しているのなら、ネット検索に引っかかるような広告やポータルサイトを利用したり、市役所のホームページや会報誌などに広告を掲載すれば良いということになります。
また、集客をする際にはホームページやポータルサイト、SNSなど広告媒体に合わせた形にして打ち出すと、さらに集客効果が見込めます。
以上のようにしてターゲットの情報取集の方法をリサーチし、そこに広告を出すようにすれば、行政書士を必要としている人にピンポイントで宣伝できるため目に留まりやすくなり、集客効果は今までとは違ったものになるはずです。
3-4.集客は1つにまとめない
先に挙げた需要リストの中から複数の需要を選んだ場合は、それらを全てひとまとめにして集客してはいけません。
需要が違えば目的もターゲットも違ってくるため、それぞれに対してここまでに挙げた集客方法を行うことが鉄則です。
行政書士は業務の幅が広いからこそ異なる需要に応じて自分が何をできるのか、ターゲットが理解できるように丁寧に説明することが重要です。
行政書士の集客は、ターゲットに合わせた集客をすることが成功の秘訣となります。
4.まとめ
自分の仕事は自分自身が一番理解しているからこそ、職業名だけで相手にも理解してもらえると思ってしまう傾向があります。
そのため、実はターゲットが行政書士の仕事内容をよく理解していないことに気付くことができず、説明が不十分であるがゆえに集客がうまくいかない悪循環に陥っていることがよくあります。
この記事を読んだあなたも、思い当たることがあるのではないでしょうか?
今までの集客で足りなかった部分をご紹介した方法で補うことで、今まで以上の集客効果を手に入れ、行政書士としてのさらなるブランディングに役立ててください。
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